小説を書きたい

雑文

 小説を書きたい。そう思ったのは高校1年生のころ。

 小説というものを初めて読んだのも高校1年生のころだ。

 私はそれまで、文章ばかりの本が苦手で漫画しか読んでいなかった。

 何を思ったのか、本屋さんで『キスまでの距離』という小説を買った。表紙に惹かれたというのもあったし、恋愛ができそうにない高校生活のスタートに絶望し、物語の世界に逃げようとしていたのかもしれない。よく、覚えていない。

 小学生、中学生のころの、読書感想文のための推薦図書でさえまともに完読できなかった私は、「果たして読み切れるのだろうか」と不安だった。

 けれど、『キスまでの距離』は易しかった。たしか、2日ほどで読み終えたと記憶している。

 そして、「面白かった」。

 小説を読むことの面白さを高校1年生にして初めて知った私はそれから物語を探す旅へと出かけることになった。

 次に読んだのは、確か『やけっぱちのアリス』だったと思う。

 私は、やりたがる性質がある。

 自分が感じて良かったものは、自分でやりたくなってしまう。「俺にもできんじゃね」と思ってしまうのだ。

 もともと私は物語を作るのが好きだった。

 小学生のころは、班で劇をやるというので、私はそのためのオリジナルストーリーを作って演じて、好評だった。

 中学生のころは漫画を描くようになった。元は漫画ではない。ノートに「お話」を作って、そこに「挿絵」を描いていて、だんだんとその挿絵が増えていき、漫画の形を取るようになったのだ。

 そしてその漫画はクラスメートの中で好評だった。

「続き読ませてよ」という声が嬉しかった。

 なので、オリジナルの物語を紡ぐのは私は好きなのである。

 そうして、高校1年生のときに、初めて小説に触れた私は例により自分でもやってみようと思ったのだ。

 高校1年2年のころに、どんな小説を書いていたのかは覚えていない。覚えているのは高校3年生のころに書いた小説で、家のパソコンでプリントアウトし、国語の先生に見せていたのだ。

 主人公は自分と同じ男子高校生で、ある朝、目が覚めたらひとりの女の子が枕元に立っていることに気づくことから物語は始まる。

「わたしはあなたが作り出した理想の恋人なの」と主人公と同じくらいの年齢の女の子は言う。

 主人公の両親は仕事の都合で海外で暮らしていて家には主人公しかいない。そこで、主人公とその女の子の同居生活が始まる。

 アンドロギュノスがどうのこうの、オクテットがどうのこうの、凸+凹=□といったような理屈を並べて、女の子は主人公の男の子に迫っていく。

 主人公も年頃の男の子なので、可愛い女の子に迫られて、しかも同じ屋根の下で暮らすことにどぎまぎしながらも楽しんでいた。

 ところが、世間では女子高校生の失踪事件が話題になる。

 ……、とかなんとか、そういう話である。

 結局その小説は完成することなく御蔵入りとなった。

 次に覚えているのは大学1年生のときに書いた小説で、これは何かの新人賞に送ったのだ。

 内容は「大学デビューする童貞男」のお話でコメディである。

 この小説は無事に完成することができたが、新人賞には受からなかった。

 書いていたときは面白かったがあとで読み返してみると「ああつまんない」。

 これではボツになるのも無理はないと思った。

 そこから私はしばらく小説を書くことをやめることになる。音楽に目覚めたからだ。

 それでも、いつかは小説を書きたいと思っていた。

 何かを閃いたらメモをしたり、パソコンに始めだけ書いてみたり、プロットを練ってみたりしていた。

 大学を辞めて、バンド活動をしていた私は常にお金がなかった。

 そこで、バンド活動をするためにも、ここは作家としてデビューするのもありじゃないかと思い始めるようになる。

 パソコンの中に保存していた物語の種を見て、小説を再び書こうとする。

 ところが、そのどれも、完成することはなかった。

 私は、小説を完成させることができない自分に気がついた。

 どうしてだろう、と思う。

 書きたいことはある。テーマもある。伝えたい思いもある。プロットも練ることができる。ある程度の文章を書くことができる。

 だったら、そのプロットにそって文章を繋げていけば完成するはずなのに、何故だか途中でやめてしまうのだ。

 書くことをやめてしまう。

 そういった未完成の作品が私のパソコンの中にはゴロゴロとある。

 なので私は、大学1年生のときに出版社に送った小説を書いて以来、ただのひとつも長編小説を完成させていないのだ。

 短編なら、ある。

 20代前半。携帯小説が流行っていたころ、例により、「ボクもやるぅ」となって、エブリスタに投稿していた。

 確か、3作くらい短編を載せたと思う。飽きっぽいのか、それ以来、エブリスタには投稿していない。

 そのエブリスタに投稿していたころに思いついたものがある。

 それは「原稿用紙一枚で完成させる小説」だった。

 それを私は『一畳物語』と銘打って少しのあいだ投稿していた記憶がある。

 長編は出来ないけれど、原稿用紙一枚くらいなら出来るだろうという魂胆だった。

 でも、やはり続かなかった。

 それからしばらくして、私はブログを書くようになった。

 そのブログで、いくつか短編を載せていた。

 アメーバブログである。興味のある方はこちらをどうぞ⇒短編集

 いま数えてみたら42編あった。

 書いた私自身忘れてしまっている。

 もし私が何かで有名になったらコアなファンの方が読んでくれることを期待している。

 そんなわけで、「小説を書きたい」と思った高校1年生のころから気が付けば20年以上の歳月が流れた。

 そのあいだに完成させることが出来た長編小説は1本だけである。

「そろそろ、何か完成させることができるんじゃないか」と、数ヶ月前に思うようになった。

 ある程度のプロットを考えて、着手することにした。

 ところが、その小説も20,951文字で止まってしまった。

 原稿用紙に換算すると52枚程度で書けなくなってしまったのだ。

 200枚くらいの量を考えていたので、1/4くらいで情熱が無くなってしまったのだ。

 なんだか悔しい。

 最近また、その小説を書こうと思い始めている。

 ただし、始めから書き直すつもりだ。

 自分で書いておいてあれだけど、読み返してみても、「なんだかつまらない」「面白くない」。

 これでは、何の賞にも受からないし、書籍化することもないだろう。

 なので、書き直すことにする。

 私には、人生の中でどうしても完成させたい小説がふたつある。

 ひとつは「夢」をテーマにしたお話。

 もうひとつは「自殺」をテーマにしたお話。

 これだけはなんとしても完成させたいと思っている。

 最近、人生の計画をロングスパンで考えるようになった。

 残りの人生。80歳まで生きるとして、あと40年はある。

 その40年の中で、2本の小説くらい、完成させられるだろう。

 なんとか、頑張ってみるので、応援してください。

 あ、アメブロの短編集を載せるのはなかなかレアなので、このページは保存しておくとあとあと良いことが起こります。

 感想を頂けたら、私は嬉しいです。

 それではまた✩

 

 

 

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