神ってる

　今日はレストランでのお仕事はお休みで「もみ」１本でした。

　開店と同時に１２０分のもみほぐしのコースが入っていました。

「なにそれ、長くね、めんどくさいな、なんで６０分じゃないんだよ。誰だよ、いつも山田さん指名の人じゃん。山田さんが居る日に来なよ」

　というのが率直の感想で、

「でもなー、もし６０分だったらSさんのところに必然的に入ることになるしな、Sさんは入りたくないな、何回も入ってるし」

　が、開店準備中の感想で、

「ま、いっか、のんびりやろーっと」

　と、１０時までには心の準備が整ったのでした。

　１０時５分前くらいにお客様がやってきました。

　常連様で、よく見る名前でしたが僕が入るのは初めてです。

　１２０分は長いけれどのんびりやれるので「まあいいかな」とも思います。

　お客様は足と脇腹がお疲れでした。

　足からスタートしました。

　施術をしながら、自分の施術方法が変わったことを改めて認識します。

　フレキシブルになったというか、「対話」をしているというか、アプローチの仕方がかなり変わりました。

　言葉で説明するのは難しいですが、「型」にそってやっているのではなくて、触りながら考えてやるようになりました。

　なので、力加減も一辺倒ではないし、場所によって変えています。

　時間も「ここはもう少しやったほうがいいんじゃないか」と思うところは重点的にやるし、逆に「ここはそんなでもないな」というところはさくっと終わらせます。

　あと、いままでは筋肉の部位だけを意識していましたが、最近は骨格や関節、体全体のバランスなんかを考えながら施術しています。

　先日お客様から「いままでいろんなところに行ってきたけどあなたが一番上手かった。絶妙な力加減で気持ちよかった」と言われたので、とても調子に乗っています。

　僕は褒められると調子に乗るのです。

　そんなわけで、１２０分、なんだかんだで楽しみながらやりました。

「さー読書するぞ！」

　と思っていたのもつかの間、９０分のご予約が入りました。

「なんなん今日、ロングばっかやん」

　と静岡人のくせに関西弁で文句を言います。

　そして９０分のお客様。

　腰がお疲れな様子。

　やります！

　施術をしながら、「神ってる」と思いました。

　やばい、今の俺、神ってる。

　です。

　調子に乗っています。

「俺はいま、加藤鷹だ」

　そんなことを思っていました。

　普段は横向きの施術なんてやりませんが気分が乗っていたので横向きもやってみました。

　腰を指圧するのにダイレクトで届くからです。

　苦手だった横向きなのに自分からやっちゃうなんて劇的な変化である。

　最後に仰向けで腰を揺らして終わりました。

　いやぁ、神ってる神ってる。

　こういう自惚れていられる時間って好きです。

　自己肯定感が低い人はとりあえず自惚れてみたらいいんじゃないかなと思います。

　めんどくさいめんどくさいと思いながらも結局ロングタイムの施術を楽しんでやれました。

　今日の仕事はそれで終了です。

　お疲れ様です。

　明日はレストラン。

　忙しくならないといいな。