指名

雑文

 お疲れ様です。今日はお仕事の日。

 週のはじまり月曜日。のんびりやっていこうと思っていました。

 出勤して予約表を確認すると、すでに10時からご予約が入っていました。

 男性指名です。

 その時間、男性スタッフは僕しかいないので僕がやることになります。

 もみほぐし60分のコースだったので「ま、いっか」と思っていました。

 それをやって、あとはのんびり過ごそうと思っていました。

 ところが、物事は予期せぬ事態になります。

 それは開店準備をしていたとき、電話が鳴りました。

 ご予約の電話です。

 どうやらYNさんを指名したいらしいのですが、今日はYNさんはお休みです。

 そのことを告げると、「じゃあ、Kくんがいいかな」と、電話口で言われました。

 Kとは僕のことです。

 まさか、自分が指名されるとは思ってもみませんでした。

 10時のご予約が入っているので、入れるとしたら11時30分からになります。

 そのことを告げると、お客様は少し悩んでいました。

「ちょっと遅くなるなあ」

 僕は電話の子機を握りながら「またにしてくれ」と思っていました。

 YNさんがいいのなら、YNさんの方がいい。僕なんかを指名してもなんもいいことはないよ、と、思っていました。

 しかし、「じゃあ、11時30分からで」と、言われました。

 ありゃ。

 もう一度確認します。「K指名でよろしいですか?」。

 はい、と帰ってきます。

 覚悟を決めなければなりませんでした。

 指名。

 いままで指名をもらったことはないことはないのですが、稀です。

 指名されるということはその分期待されているということ。

 なので、僕はとてもプレッシャーを感じてしまいます。

 予約表を見ながら現実を受け入れました。

「やらなきゃいけない」

 履歴を見てみると、以前も指名してくれたお客様でした。と、いうことは僕の施術でも悪くないということだ。

 プラスに考えよう。

 平日の目標が2本だから、今日のご予約ですでに目標は達成じゃないか。それをがんばってあとはのんびり過ごそう。

 そう、決めました。

 1本目のお客様を難なくこなし、その指名のお客様を待ちました。

 時間より少し前にお客様が来られました。

 すぐに誰とは分からなかったけれど、以前入ったことはあるということだけは思い出しました。

 免責事項にサインをもらう。

 「着替えてもいい?」とお客様は言いました。お客様を更衣室へご案内し、待ちました。

 着替えを済ませたお客様をブースへご案内します。

「今日、特にお疲れな場所はありますか?」伺います。

「肩と腰。どっちかっていうと腰かな」

「かしこまりました」

 もみほぐし90分のコーススタートです。

 主訴である腰からスタートしました。腰をやり、臀部をやり、もう一度腰をやる。それを左右やって30分。

 あとはそこから上に登っていき、肩甲骨まわりをやってから肩をほぐして時間があれば首もやってそこから足をやって残り15分くらいになったら仰向けの施術に入ろう。そう、プランを立てました。

 プラン通りに施術をしていきました。

 特に会話はありません。

 プレッシャーを感じてはいましたが、一応お金を頂く立場にあるので、マイナスな思考はおっぱらいました。

 自分の型を、提供しよう。そう自分に言い聞かせ、施術をしていきました。

 以外に90分はあっという間に終わりました。

「それではお時間になりましたのでゆっくり起き上がってください」

 最後に仕上げをする。

 特にお客様からの感想は頂けなかったけれど、やることはやりました。

 お会計をして、お見送りをする。

 そこで、ほっと息をつきました。

 なんとか、終わった。

 安堵です。

 指名をもらったことで、まわりのスタッフへのアピールにもなります。

「僕だって、指名をもらえるんだぞ」という感じです。

 お客様が楽になってくれれば幸いです。

 今日の仕事はそれで終わりました。

 あとはひたすらのんびり過ごしました。

 週のはじまり月曜日。

 無事に終えたことでなによりです。

 今日がんばったから、明日はゆっくりしたいなー。

 それではまた✩

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