無能だって生きていきたい

雑文

 ときどきこういうことを考える。

 もし、無一文で、素っ裸で駅前に立っていたら、どうなるか。

 多分警察に捕まるだろう。

 もしかしたらそこで服を貸してくれるかもしれない。

 そして、家に送られる。

 でももし、その家がなかったらどうだろう。

 親も親戚もいないとしたらどうだろう。

 どうしようもない。警察も困ってしまうだろう。

 何が言いたいのかというと、「一体僕は何ができるのか」ということだ。

 無一文で、素っ裸。頼れる家族もいない。あるのは知識と経験と体だけ。

 そこで、生きていけるのかどうか、僕はときどき考える。

 服は貸してもらうとしよう。とりあえずの寝るところも与えられるかもしれない。

 当面の食事も与えられるだろう。

 でもその先、一体僕に何ができるのだろうか。

 僕は、お米を作ることができない。

 野菜を作ることもできないし、狩猟することもできない。釣りもできない。

 自分では、食べ物を得ることができないのだ。

 じゃあ、お金を稼ぐしかない。

 何ができるのだろう。

 歌も歌えないし、料理を作ることもできない。

 出来ることといえば、体を動かすことぐらいだ。

 工場かなんかへ斡旋してくれたら、お金を稼ぐことができるのだろうか。

 言われたことをやる。

 多分出来るだろう。

 でももし、工場がなかったらどうだろう。

 僕に何ができる。

 人の体を揉むことぐらいしかできない。あるいは何かお手伝いをするとか。

 それでお金を得られるかどうかは分からないけど、食べる分は稼ぐことができるだろう。

 そうなると、今度は住む場所に困ってしまう。

 持ち家がないので、当然借りる事になる。

 そうなると、家賃まで稼がなくてはならない。

 マッサージするだけで、あるいはお手伝いをするだけで、水道光熱費と家賃と食事を賄うことができるのだろうか。

 最低でも月に10万は稼がなくてはならない。

 毎日働くとして、一日あたり約3000円稼がなくてはならない。

 可能だろうか。

 一日3000円なら、可能なのかもしれない。

 街を歩いて、一軒一軒訪問し、「マッサージします」と言えば、一件くらいはなんとかなるかもしれない。

 「できることならなんでもします」と言えば、何かあるかもしれない。

 生きていく分には、なんとかなりそうだ。

 それでも、それが成立するためには貨幣の恩恵を得ることになる。

 つまり、国の力だ。

 なので、税金、国民健康保険、年金を払わなければならない。

 そうすると、10万ではやっていけなくなる。

 月に15万あればなんとかなるだろうか。

 すると、一日あたり5000円稼がなくてはならない。

 そうなると、難しくなってくる。

 車がないので、一軒一軒徒歩で訪問しなければならないし、タイミングよくマッサージやらお手伝いをさせてくれるところがあるとは限らない。

 詰んだ。

 もちろん生活保護というシステムがあるが、ここではそれはないものとする。

 一体僕に出来ることなんて、何があるのだろうか。

 そこで、「雇用」のありがたさを感じる。

 雇用があることで、もう少し稼ぐことができる。

 そうすれば、月15万くらいなんとかなるだろう。

 中には「寮付き」の求人もある。

 なんとか生きていくことができそうだ。

 だけどそれには大前提がある。

 それは何かと言うと、日本という国と、貨幣制度と、雇用制度があるという大前提だ。

 国と、制度のおかげで、僕は生きていくことができる。

 まずそのことに感謝をしなければならない。

 どうしてそんなことを考えているのかというと、いま僕は仕事を探しているのである。

 仕事。

 だけどこれがなかなか見つからない。

 面接一件、問い合わせ二件、というのがいまの進捗だ。

 そんなことをいうと笑われるかもしれない。

 就活生なんて、何十件も、あるいは何百件も受けているのだ。

 それに比べたら一件二件で「見つからない」というのはちょっと甚だしいのかもしれない。

 仕事は、選ばなければいくらでもある

 それは事実だ。

 だけど、いざ仕事を探すとなると、あれこれ条件が加わる。

 僕が求めている条件は以下のものだ。

  • 月収20万以上
  • 月の休みが8日以上
  • 社会保険完備
  • 9時から18時くらいの時間帯
  • 車通勤可能
  • 営業職ではない
  • 工場勤務ではない
  • できれば接客業
  • 調理は行わない
  • 正社員
  • 通勤時間一時間から一時間半
  • 小規模なところ

 以上である。そうなってくると、なかなか見つからないのだ。

「何甘えてんだ」と言われるかもしれない。

 でも、例えば収入の面で、希望より下回るのだったらこの先の人生設計が大いに狂う。

 休日も必要だ。

 仕事を選んでいるのは、いままでの経験上向かないものは出来ないからだ。

 いままで僕は、沢山の職種を経験してきた。

 クビになったものもある。

 仕事に行けなくなったものもある。

 なので、続けることを考えると、どうしても選んでしまうのである。

「何甘えてんだ」と言われるかもしれない。

 そうだろう。甘えている。

 少なからずいま、僕は居候の身だし、生活費もほとんどかかっていない。

 だけどこの先、独り立ちすることを考えると、どうしてもその条件は譲れないのだ。

「首都圏で探せばいくらでもある」という意見がある。

 確かにそうだが、僕は都会が苦手だ。

 いまのところ、遠くに引っ越すつもりもない。

 なのでいまの地域で探すことになる。

 そうなってくると、難しいのだ。

 だんだん何が言いたいのか分からなくなってきた。

 僕は多分落ち込んでいるのだ。

 就職先が見つからず、未来に不安を抱えているのだ。

 だからこんなことを考えてしまう。

 僕は無能な人間だ。そのことはよく分かっている。

 それでも生きていきたいのだ。

 なんだか暗い話になっちゃったな。

 明日は明るい話をしよう。

 それではまた✩

 

 

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