ダ・ヴィンチの罠#6『堕天使』

父ブログ翻訳

はじめに

 この「翻訳」記事も#6まで来ました。

 初見の方は「???」と思われるので、簡単に説明します。

 わたしの父は現在ブログを書いています。

 内容は、「レオナルド・ダ・ヴィンチの謎」に迫るというものです。

 面白い題材なのに、内容が難しいせいか、文章も難解で伝わりづらい。

 そこで、わたくしりょうきちこと勝馬将太がそのブログを「翻訳」しているわけであります。

 もし少しでもご興味がありましたら、ちょっと覗いてみてください。

 不思議な迷宮へと、あなたをいざないます。

 それでは第6弾、いきましょう(^^)/

 こちら↓がその、透明人間さんのひとり、父のブログの原文です。

ダ・ヴィンチの罠 墜天使 - 透明人間たちのひとりごと
国連「国際ひかり年」西暦2015年を国連がそう宣言したそうですが…つまり、今年は「国際光年」なのです。天文学での距離の単...

 それではここからが勝馬の訳です。

 よろしくお願いします。

前回までのあらすじ

 ダ・ヴィンチの絵の謎に少しだけ触れ、「もしかしたらこうではないか」という一応の答えを見出した透明人間2号。

『最後の晩餐』『岩窟の聖母』『受胎告知』『東方三博士の礼拝』と見てきて、

 ふたたびまた『受胎告知』へと戻った。

 そこにあった謎の肢(あし)は、まるで悪魔のようだと感じたわけであるが、はっきりとした「答え」は見つかっていない。

 ガブリエルのまっすぐな視線が不敵である。

ー-----------

 透明人間2号は、空を見上げ、地面を見つめ、顔をあげた。

 まだ、何かある。

 そうしてまた、あたらしい「扉」を探すのであった。

勝馬訳ダ・ヴィンチの罠#6『堕天使』前置き

 西暦2015年を、国連が「国際光年」と定めた。

 日本では、天文学の距離を表す単位の「〇光年」と紛らわしいので、「国際光年」は「国際ひかり年」と読むことにしたそうだ。

 ところで、あなたは天使のことを知っていますか?

 かつて「光を運ぶ者」、あるいは「暁の子」、「暁の星」と呼ばれ、「光の運び手」とされた眩いばかりの光に包まれた美しい天使がいました。

 その名もルシファーです。

モンストhttps://monst.appbank.net/monster/1032.htmlからの引用

 名前の由来は、ラテン語で「光を運ぶ」 ( lux 光+fero 運ぶ)を意味するものです。

 Lucifer(ルシファー)

 彼は(↑の絵は女ですがまあいいでしょう)「熾天使(上級第一位の天使)」のリーダー として押しも押されぬトップエリートの中のトップエリートとして辣腕を揮っていました。

 ※なお、天使の階級を図で表すとこうなります。

https://mikisya.com/tenshitohaa/

 その強大な力と美しさを備えたルシファーは、「神」の寵愛を一身に受けることとなり、己の力と美貌に酔いしれた彼は、過信と増長の末に、「天界」に反旗を翻してしまうのです。 

 天界の3分の1にもおよぶ「反乱軍」を率いて、神に戦いを挑んでしまったのでした。

 大激戦の果てに、大天使ミカエルの率いる天界側が勝利をおさめます。

 ルシファーは敗れてしまうのです。

アニメ『純潔のマリア』の大天使ミカエル

 敗れてしまったルシファーはそうして「堕天使」となったわけでした。

勝馬訳ダ・ヴィンチの罠#6『堕天使』1

 そのときの様子が、フランスはパリの、サン・ミッシェル(聖ミカエル)広場にある建物の前に展開されています。

 ー-----------

『聖書』(ヨハネの黙示録12:7-9)の記述によれば、

「神」と対立し、天界を追放されたルシファーは魔界に墜ちて魔王(サタン)となるというシナリオですが …

 この辺りの経緯(いきさつ)をミルトンは『失楽園』でこう語っています。

 「だから、わたしはお前に話しておきたい ――― 思えば、
 あれは天からルーシファが(そうだ、それが、星の中の星
 ともいうべきあの暁の明星以上に、かつては天使の群れ
 の中でも最も輝ける天使であった彼の名だ) 焔(ほのお)
 をあげて燃える仲間と共に、混沌の世界を真っ逆さまに
 己の行く場所へと転落し、御子が味方の天使たちを率い
 て凱旋されたときのことであった」(訳注:御子=イエス)

   (1667年ミルトン『失楽園』第7巻 岩波文庫)

 勝馬が訳すとこうなる。

「そうだな。お前には話しておいた方がいいな。

 思えば、あれは天からルシファーが混沌の世界に真っ逆さまに転落していく様(さま)だった。

 ルシファー、かつては天使の群れの中でも最も輝ける明星ともいえる暁の名の天使、ルシファー。

 そんな彼が天から落ちたのだ。

 イエスが味方の天使たちを率いて凱旋されたときのことであったなあ」

(ギュスターヴ・ドレによるミルトン『失楽園』の挿絵)

 天界から墜ちて地球にへ向かう姿を描いているのだそうですが …

 この後、ルシファーは「神」に復讐するために、蛇に化け、楽園に暮らすエヴァを誘惑し、人間(アダムとエヴァ)は楽園を追放されるというわけです。

 聖書の最初の方のお話ですね!

 ルシファーが登場する名高い文学作品としては、ダンテの『神曲』とミルトンの『失楽園』が双璧です。

 特に後者は、「神」に叛逆するサタン(ルシファー)を中心に据えて英雄的に歌い上げたために、その後のルシファーにまつわる逸話に多く寄与することになる。

 … と、『ウィキペディア(Wikipedia)』には記されていますが、実は、

 すでに、それ以前にルシファー(サタン)と大天使ミカエルと御子(イエス)と「神」との極秘の関係性に独自のインスピレーションを働かせていた男がいたのです。

 その名も、

 レオナルド・ダ・ヴィンチ。

 なのです。

勝馬訳ダ・ヴィンチの罠#6『堕天使』2

 キリスト教世界ではそうしたルシファー論をベースにして数々の教派がルシファーの墜天について論じています。

 比較的に知られるものとしては、前述した

〈その1〉クーデター説

 最高の権威と権力を与えられたルシファーは自惚れ、
 自分こそが「神」を超えられると思い込み、同調する
 味方の天使たちを集めて叛旗を翻した。

 次いで、

〈その2〉ロストプライド説

  全天使の長であるルシファーは、土から造られた人間
 (アダムとエヴァ)に跪拝せよとの命に背いて「神」
 と対立し、天を追われて「神」 の敵対者となった。

 あと、同類のものには

〈その3〉待遇不満説

 「神」は人間を寵愛し、天使以上の優遇を与えようと
 したために、これに不満を抱いたルシファーが同志たち
 集めて叛乱を起こした。

 他にも、
 
〈その4〉

 ルシファーはミカエルの双子の兄である説。

〈その5〉

 ルシファーはエヴァと不倫していた説。

〈その6〉

 アダムの最初の妻であるリリスが、アダムの許を離れ、ルシファーと結婚した。

… 等々、

 極めつけは、

〈その7〉

「神」がルシファーの弟として御子(のちに人間の原罪をあがなうために受肉して地上に降り立つキリスト)を生み出し、御子に最高の栄誉を与えたのでルシファーが嫉妬に狂い反逆した。

 というのもあります。

 これは人間社会でいえば、

 骨肉の争いのような「嫉妬説」ですが …

 しかし、『ヨハネの福音書 』(第一章)には、

 初めに言葉=ロゴス=イエスがあったと書かれています。

 「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。言葉は神であった。 この言葉は初めに神と共にあった。すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、ひとつとしてこれによらぬものはなかった」

 つまり、

 イエスは神であり、イエス自身を創造した「神」以外の
すべてのものはイエスがつくったと言っているのですから、
ルシファーも他の天使たちもイエスによってつくられたこと
になります。

 これでは 〈その7〉

 とは、整合性が保てませんね。

ー-----

 いずれにしても、ルシファーが悪魔 たる所以は、旧約聖書『イザヤ書 』14章12節にあらわれる「輝く者が天より墜ちた」 という比喩的表現に端を発しています。

 そして、ヘブライ語の「明けの明星」を意味する言葉にluciferの語を当てて訳した4世紀末の
聖ヒエロニムスに行き着いてもいきます。

『聖ヒエロニムス』 1480-82年 バチカン美術館蔵

 ※ここのところは勝馬もよくわからなかったので詳しく知りたいかたは原文を読んでみてください。

ダ・ヴィンチの罠 墜天使 - 透明人間たちのひとりごと
国連「国際ひかり年」西暦2015年を国連がそう宣言したそうですが…つまり、今年は「国際光年」なのです。天文学での距離の単...

まとめ

 今回は堕天使ルシファーの話をしました。

 原文では聖書との関連などが書かれていますが、勝馬はよくわからなかったので訳せませんでしたすみません。

 次回は、ルシファーの妻とされるリリスに登場してもらう予定でいます。

 勝馬さんは「この蛇なんか見覚えあるな」と勝手に思ったのでした。

 それではまた☆

コメント

  1. 父です。またの名を〝透明人間2号〟と称していますが、透明人間たちも、また、私自身の分身であり、彼らと私は「ひとりごと」をつぶやいています。

    今回は、かなり端折った感が否めませんが、天使の階級図はグッジョブでした。

    ダ・ヴィンチは遅筆に加え、完成作品の少なさにおいて、群を抜いているだけではなく、聖母子像と肖像画を除く、一般画題の希少性は際立っています。

    そのなかに『聖ヒエロニムス』があるのには、意味があると思われるのですが・・・

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