今日のタイトルは「酒と煙草と男と女」である。
その言葉を見て、みなさんは何を連想されるでしょうか。
今日はお仕事の日でしたがお客さんが来ず、ずっと私は待機していました。
開店準備を終えて、控え室で本を開く。
ここ最近はビジネス書ばかり読んでいましたが今日持ってきたのは小説です。
『ホテルローヤル』という小説でした。
ラブホテルを主軸とした小説で、一篇ずつに男女の物語が描かれていました。
仕事始めにそれを読み始め、仕事が終わることにちょうど読み終えることができました。
いったい何しに職場にやってきたんだか、と言われそうですが、私にとっては日常のことです。
小説を読み終えたあと、私の頭の中には「酒と煙草と男と女」という言葉が張り付いていました。
小説のどこにもそういう場面は描かれていませんでしたが、私はそんな言葉を思い浮かべていました。
ダブルベッド、裸の男女。女は男の腕の中で眠っていて、男は反対側の手で煙草を吸っている。
そんな情景が浮かんでいました。
情事のあとです。
小説、『愛と幻想のファシズム』の中で、「セックスをしたあとに吸う煙草と、狩猟を終えたあとに吸う煙草はどっちがうまいのか」といったような質問を主人公が聞かれ、「狩猟のあとだ」と答える場面があった気がする。
私は忘れっぽい頭の持ち主なのでもしかしたら記憶を捏造しているのかもしれないけれど、そんなような場面があった。
私は狩猟をしたことがないので主人公の気持ちは分からないけれど、セックスをしたあとに吸う煙草の味は知っていた。
うまいかうまくないかでいったら、「うまいのだ」と私は答える。
普段、煙草を「うまい」と思いながら吸ってはいないが、セックスのあとに吸う煙草は「うまい」と感じている。
それはいったい何なんだろう。
達成感だろうか。
セックスをしたあとというのは生物としてしっかり役目を終えたという達成感が得られるものなのだろうか。
分からない。
ひとつだけ誤解の無いように言っておこう。
射精をしたあとに、すぐに煙草を吸うほど私は冷たくはない。
後戯というわけはないが、ゆったりと余韻に浸れる時間を私は女と共有する。
割と好きな時間だ。
そのあとに、煙草を吸うのだ。
一緒に吸うこともあるし、私だけ断りを入れてから吸うこともある。
どうしてそんな話をしたのかというと、ラブホテルの小説を読んで、酒と煙草と男と女というイメージが浮かび、自分の記憶をなぞっていたからだ。
みなさんは、ラブホテルと聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
たぶんそれは人それぞれなのだろう。
ラブホテルで働いている人にとってはただの職場だし、デリヘル嬢も同じだ。
男と女でまた違うのかもしれない。
年齢によっても違うだろう。
なんとなく私はカップルの甘い思い出話を聞きたい。
私は、ラブホテルが好きだ。
まず、名前がいい。
「ラブホテル」ってネーミングが素直だ。
もうそれは「えっちをするところだよ」と宣言しているようなものだ。
なので私は恋人と「今度デートどこに行こうか」という話をしているときに、彼女が「ホテルに行きたい」と言ってくれたときは愛しさが倍増する。
私は単純な性格なので、「ホテルに行きたい」という言葉を頭の中で勝手に「えっちがしたい」と変換している。
彼女が色情狂で、誰彼構わずチンポを欲しがっている女でない限り、私のことを求めてくれているので嬉しい。
それに、セックスするまでに変なプロセスと駆け引きを必要としないところが楽だ。
恋人をラブホテルに誘うというのはなかなか勇気がいるものだと思う。
付き合い始めで、まだ一度も行ったことがない時期だったらなおさらだ。
男女ともにそれは考えると思う。
「カラオケができて、映画も見られて、ゲームもできて、二人っきりでゆっくりできるところに行かないか」なんて言えない。私は言ったことがない。
私はいままでどのように誘ったのだろう。
ちょっと記憶を探ってみるが、なかなか決定的なものがすぐに浮かんでこない。
いろんなパターンがある。
探り探りだったときもあるし、ストレートに言ったこともあるし、その場の雰囲気だったりしたこともあるし、ただ単に泊まるところというチョイスでラブホテルを選んだこともある。
あるときは子連れでチェックインしフロントから注意されたこともある。
まあ、いろいろだ。
もう12月が始まった。
12月といえば、クリスマスがある。
私が大学生だったころ、寒いなか原付でバイトに通っていた。
その道筋にラブホテルが建っていて、クリスマスイブの夜、「満室」のランプが点っているのを見て、とても面白くない思いをしたのをいまでも覚えている。
ラブホテル。不思議な建物だ。
もしその建物がスケルトンでできていたら、各部屋で行われている情事を見ることができる。
満室の建物を見ながらカップルたちが情事を行っている様を想像していた。
もちろん全員が同時に挿入しているわけではないが、それぞれの部屋ではそれぞれの甘い時間が過ごされているのだ。
あのころは憎々しく思っていたけれど、いまではなんとなくあたたかい目で見ることができる。
なぜなら私も同様にしてたくさんの甘い思い出を過ごしてきたからだ。
酒と煙草と男と女、そしてラブホテルが今日のテーマでしたが、どこにも「酒」が出てこないことにいまさら気づいた。
まあいいか。
どうでもいい情報だが大阪の枚方市にある有名なラブホテルを私は気に入っていた。
まるで遊園地みたいな凝ったエントランスで、ウェルカムドリンクとウェルカムパフェみたいのがあって、朝食も無料でついていて、値段も手頃だった。
いまではそのホテルがどうなっているのか知らないけれど、私の秘密の財布の中にはそのラブホテルを利用するともらえるチケットが何十枚も入っている。
別に自慢をしているわけではない。
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