2021年。今年もあと僅かとなりました。
今日は、面接の日です。
9月から、新しい仕事を探していて、なかなか決まらずにいました。
いままでは正社員の募集に志望していたのですが、今回はアルバイトです。
正社員登用ありと書いてあったので、将来的には正社員を目指しつつ、まずはアルバイトから下積みをやっていこうと思ったのです。
幸いなことに、家族の助けがあるので、金銭的に逼迫しているわけでも困窮しているわけでもないので、それほど収入がなくてもやっていけそうです。
今回の募集は、どうしても採用に繋げたい一件です。
もういい加減新しい仕事を決めたいというのもありますが、条件がとても整っているからです。
以下のものになります。
- 車通勤OK(駐車場あり)
- 勤務時間は9時から22時で応相談
- 場所がいま働いている職場から5分で着く距離
- 時給が割と良い
- 正社員登用あり
- 制服貸与
- 飲食店
- 小規模なお店
- ポジションの応用がききそう。
- 経験が活かせそう
- WワークOK
です。
運命ではないかと思いました。
保険屋さんの面接に落ちたのも、らーめん屋さんの面接に落ちたのも、他の募集の電話で切られたのも、すべてこの求人に出会うためだったのではないかと思いました。
なのである意味、今日の面接は楽しみでもありました。
面接をして、採用の知らせを受けて、晴れて年を越せるのを想像していた日々は希望に満ち溢れていました。
一昨日のうちに、履歴書と職務経歴書を作成しました。
かなり丁寧に書きました。
昨日の夜は、とても良い夢を見ました。
縁起が良いです。
朝目が覚めて、朝ごはんを食べる。一日が始まる。
面接は午後の4時からです。
それまで時間が空いていたのでゆっくりと休日を過ごしました。
前回の面接では、余裕を持って家を出たにもかかわらず、渋滞に巻き込まれてしまって15分遅刻をしてしまったので、今日はかなり余裕を持って家を出ることにしました。
午後の1時半。
げんを担ぐつもりで歯を磨く。
スーツに着替え、勝負ネクタイを着け、お気に入りのバーバーリーのタイピンで止める。
髪の毛をセットし、父親からプレゼントされたオメガの腕時計のネジを巻く。70回だ。
腕時計を身に付け、時間を確認する。
2時を過ぎていた。
かばんの中をチェックし、忘れ物がないことを確認して家を出る。
玄関の姿見で前髪を整える。
磨かれた黒の革靴を履いて、車のキーを手に取った。
いつもそうするように、音楽を流しながら運転をした。
大丈夫、時間は十分にある。渋滞に巻き込まれても、途中でお腹が痛くなっても大丈夫だ。
いつもは食べない昼食も食べた。サッポロ一番塩ラーメンだ。白菜とネギも入れた。美味しかった。
車を運転しながら「志望の動機」を聞かれたらなんて答えるか考えていた。
考えてみたけれど、あまりひねらないで、正直に言おうと決めた。
いつもの道を、いつも通りに運転する。
いつも寄るコンビニに着く。ここから面接するお店までは車で5分もかからないだろう。
1時間も早く着いた。これで、遅刻の不安は回避された。
いつもそうするように、コンビニで缶コーヒーを買う。ジョージアのエメラルドマウンテンだ。
とりあえず一服する。
ここまで来るあいだに見た富士山を思い浮かべた。
雪が積もり、綺麗に白くなっている日本を代表する霊峰。
なんだかその富士山からも応援されているような気がした。
Twitterで応援してくれた方のコメントも思い出す。
煙草を吸い終えると、車に乗り込み、Twitterを見て時間を潰す。
少しだけ、今日買った新しい本を開いてみた。
面白い。続きを読むのが楽しみだ。
そうこうしているうちに時刻は3時半を過ぎた。
もう一度煙草に火を点けて、心を無にする。
吸い終わると、車に乗り込み、荷物をまとめる。
残りのコーヒーを飲み、ミンティアを3粒口に入れる。
エンジンをかけて、出発する。
3分もかからなかった。すぐに着いた。時刻は3時40分。
Twitterを眺めて時間を調節する。
3時47分になり、スマホのマナーモードを確認し、かばんに入れる。
車のドアを開けて、外に出る。
すべての準備は整っていた。コンビニでうんこもした。
ドアを開けようとすると、「出口専用」と書かれていた。
入口はそのすぐそばにあったので、ドアを開いてみた。
ドアの先には、もう一つドアがあった。
その前に検温機と消毒液があったのでちゃんとやる。
ドアを開けると、カッターシャツにベストを着た男性が立っていた。
私は自分の名前を名乗った。
奥の席に案内され、座る。
実は、このお店には一度来たことがある。
ずいぶん昔だが、たしかサラダとスパゲティを食べたような気がする。
イタリアンレストランなのだ。
外観もお洒落だったが内装もお洒落だった。
席に着く前にすれ違った女性スタッフにも会釈をした。
すぐに、面接の担当者が現れた。
先ほどの男性だった。
面接が始まる。
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始終落ち着いた気持ちで面接をしていた。
話はスムーズに進み、とても好感触だった。
お店の雰囲気もよかったし、担当してくれた方の印象もよかった。
そして私の印象も好感を持ってもらえたと思う。
最後にひとつふたつ質問し、面接は終わる。
「本日はお忙しいなかお時間を頂きありがとうございます」
あまり慇懃にならないように頭を下げた。
出口までお見送りされた。いいお店だなと思った。
車に乗り込み、駐車場を出た。
いつも寄るコンビニで車を止める。
缶コーヒーを買い、一服する。
悪くなかった、と、思う。
ひとつだけ気になった点があった。
それは、「ひとりだけ採用する」というものだった。そして他にも面接の予定があるということだった。
今日の面接に点数をつけるのなら100点だった。
なにも、抜かりはない。
準備も万全だったし、面接の内容も良かった。
何より、話が「採用が決まったあとどういう感じで働いていくか」というものだったからだ。
いずれ正社員になりたいという希望も先方の事情に合っていて、「もしそうならとても助かる」と言ってもらえた。
勤務時間も短くても良いし、長くても良い、どの時間帯でも大丈夫だと答えたし、「それは助かる」と言ってもらえた。
お盆もお正月もクリスマスも土日も出勤可能だし、ホールもキッチンもあるいはマネジメント管理も経験者だったことが高評価であったはずだし、収入が多くても少なくてももう一方の仕事で調整すると言っていたことに対して「それだけ融通が利くと非常に助かります」と言ってもらえた。
100点だった。
こんな人材を採用しないわけがないと思った。
もし不採用だったらいったい私はどうすれば良いのだろうか。
もし不採用だったら原因は私にはどうすることもできないことだろう。
例えば女性スタッフを募集していたとか、年齢の若い子を募集していたとか、学生さんを募集していたとか、それくらいだと思う。
そうじゃなかったら、採用に繋がるはずだと私は思った。
「ひとりだけ採用します」「他にも面接予定があります」その言葉だけが気がかりだった。
私以上に好条件の人材がいるのならそれはきっと本場イタリアで修行をしてきた人か有名なパティシエか絶世の美女くらいなものだろう。
その確率について計算してみたが、数学の「確率」なんてすっかり忘れてしまったので答えは出なかった。
帰りの車の中で、私は無だった。
やることはやったし、これ以上ないくらいのパフォーマンスをした。
あとはもう、「運」しかない。
「決まって欲しい」車の中でそう呟いた。
決まって、欲しい。
2021年も残り僅かとなった。
採用が決まり、すっきりした気持ちで新しい年を迎えたい。
言っとくけど、私はポテンシャルの塊だ。
逃したら、後悔するぞ!
今日一日に、私は望みを懸けた。
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