はじめに
私はあまり頭がよくありません。
特に記憶力に自信がなく、すぐに忘れていってしまいます。
それは読書にも言えることで、読んでもすぐに忘れてしまいます。
そこで、書評を書くことにしました。
ひとつは自分のため。記憶の定着をはかるためです。
そして私のように本を読むことは好きだけど何が自分に合っているのか分からない人のために、実際に私が読んでみて、「これは良かった」「これはいまいちだった」といったような感想を発信していきたいと思います。
何かの参考になれば幸いです。
『「繊細さん」の本』
書評第15冊目に選んだのは武田友紀(たけだゆき)さんの著書、『「繊細さん」の本』です。
「繊細さん」と言われてもいったい何なのか分からないかと思われます。
本書のなかで、「繊細さん」とはどのような人なのかが少し紹介されています。
「繊細な人」とは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱したHSP(Highly Sensitive Person)という概念がベースになっています。
最近ではこの概念が日本でも浸透し、「敏感すぎる人」「とても敏感な人」などと訳され、なんちゃらかんちゃら(本文から引用)。
と、いうことです。
HSPという言葉を最近どこかで聞いた覚えがあります。
Twitterか何かで見ました。
世の中にはそういう人がいるのだなと、とても他人事のように受け止めました。
私は、繊細ではありません。
どちらかというと大雑把だし、細かいことに気がつきません。
繊細な人というのは、細かいことに気がつき、他の繊細ではない人に比べて多くのことを感じ取ることが出来る人のようです。
そのため、日常生活や仕事の場面において、多くのストレスを感じ取ってしまうようです。
中にはそのことで「生きづらさ」を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この本は、そういった「繊細さん」のための本です。
どうして繊細でない私がこの本を読もうと思ったのかというと、私の元恋人が繊細な人だったからです。
あるとき、手紙のやりとりをしていて、その中に「わたしは繊細だから」というようなことが書いてありました。
私は、「自分で言うか?」と疑問に思いつつもなんとなく、それで傷ついてしまうのなら、変えることが大切だ、みたいなことを言いました。
その際に、「考えすぎ」だとか「もう少し楽に生きたらいい」みたいなことも書いたような気がします。
そして、私は「僕は自己憐憫が嫌いなんだ」ということも以前彼女に言っていました。
そのあとに、手紙で「わたしは自分が繊細であることを悪いことだとは思っていない」という言葉が返ってきました。
別に否定したわけではなかったのだが、どうやら私の返事で彼女が傷ついてしまったようだったので、必死に弁解をしました。
自己憐憫は嫌いだが、繊細であることそのものを否定しているわけではない。細かいことに気がついたり、多くのことを感じ取れることは素晴らしいことでもある、とかなんとか言いました。
芸術を例に出したり、太宰治を例に出したりしました。
一応のところそれで気持ちは収まったようなのですが、私は根本的に何かが間違っていました。
それは、彼女がまだ精神的に弱い心の持ち主で、それは変えられることが出来て、それが「成長」なのだと思っていたことです。
彼女は、誰かよりも劣っているとか、弱い生き物とか、そういうことではなくて、ただ単に「繊細な人」であったのだ。
彼女はよく泣くし、よく病むし、精神薬や睡眠薬を多量に摂取する「オーバードラッグ」を繰り返すし、ときどき、自傷行為をします。
最後のデートのことを忘れはしません。些細なことで、喧嘩ような状態になり、「帰る」と彼女は車から出ていきました。
はじめは止めて宥めようとしましたが、うまくいかず、彼女は帰ってしまいました。
私は、「ま、いっか」と思って、帰りました。
会っていた場所からずいぶん離れたあとに、彼女からLINEが届きました。「どこ?」と書いてありました。
私は正直に「帰ってるよ」と送り返しました。
その10分くらいあとに、爪で引っかいて血の滲んだ白い腕の写真が送られてきました。
何故だか彼女は自分を責めていました。
その夜、彼女はオーバードラッグをして、しばらく目覚めませんでした。
そして、その数日後に別れることになりました。
少し自分の話をしてしまいましたが、そういったことがあったので、私は「繊細な人」の心情を少しでも分かる人間でありたいと思うようになったのです。
それが、この本を読もうと思ったきっかけです。
書評
総合評価:✩✩✩
読みやすさ:✩✩✩✩
新鮮さ:✩✩✩✩
繊細な人の気持ちが分かる:✩✩
繊細な人向け:✩✩✩✩✩
活かせるか:✩✩✩
(MAX:✩✩✩✩✩)
です。
読みやすさは星4。読みやすかったです。難しいようなことは特に書いていません。イラストも載っているので内容がすんなり入ってきます。
新鮮さは星4。私にとっては新鮮な話でした。世の中にはこういった人もいるのだな、ということが分かりました。そしてまた、繊細な人はその感性ゆえにいろいろと多くのことに悩んでいて、生きづらさも感じているのだな、ということが分かりました。
繊細な人の気持ちが分かるかは星2です。おそらくですが、繊細でない人は、繊細な人の気持ちや感性は分かることが出来ないと思います。男性に生理というものがどういうものか分からないのと同じで、根本的に何かが違うからです。この本を読んで分かることは、「世の中には自分では分かることの出来ない繊細な感性を持った人がいる」ということです。
繊細な人向け、星5。この本はきっと、「繊細さん」にとっては助けになるでしょう。著者の武田友紀さん自身がHSPで、繊細な人です。著者自らの体験と、カウンセリングを通して得た知識とノウハウはきっと繊細な人にとっては大きな助けになるはずです。
活かせるか、は星3。これは繊細でない私にとってのことですが、ほんの少しだけ「繊細な人」の抱えていることを知ることが出来ました。もし、いまよりもずっと前にこの本を読んでいたら、元恋人に対しての接し方も少しは変わっていただろうと思います。これから先、繊細な方と知り合うことがあったなら、多少はこの本を読んだことが活かせるのではないかなと思います。
以上を踏まえて、総合評価は星3です。
まとめ
『「繊細さん」の本』読みました。
読んでみると、繊細であろうがなかろうが人と接する上で大切なことが書いてあったりします。
「人間関係の入れ替わりは悪いことではない」ということや、「本当の自分でいることの大切さ」や「ちゃんと言葉にして言う」ということは、そのとおりだなと思いました。
繊細な人も、繊細ではない人も、仲良く楽しく生きていける社会であって欲しいですね。
自分が繊細であることで生きづらさを感じている方や、繊細であるがゆえに仕事やプライベートでうまくいかず、ストレスを感じてしまったり、疲れてしまっている方は、気軽に読んでみると良いかもしれません。
元恋人とは、連絡がつかなくなってしまいましたがどうか元気に生きていってほしいです。
参考になりましたでしょうか。
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