人間の脳は気持ちの良いことしかしたがらないらしい。
そういうことを、高校生のころに本で読んで、「そっかぁ」と納得した。
今日はレストランのアルバイトは休みで、「もみ」だけやってきました。
ありがたいことに開店と同時にご予約が入っていて早速入ることが出来ました。
どうやら常連さんのようですが僕が入るのは初めてです。
会った瞬間、「ム」と思いました。
相性というものは会って数秒で大体分かる。
そのときに働く直感は大体当たる。
受付を済ませ、ブースへご案内しました。
「お荷物はカゴの中にお入れください。こちらへどうぞ」と言って手を差し伸べているのに、わざわざ「僕が立っている方」へ寄ってきてこちらが何も言っていないのにベッドに腰掛けた。
挨拶をするものの、返事はない。
「今日特にお疲れな場所はございますか?」
「足の甲と足の裏と、ここらへんと」といって足をさする。
「ふくらはぎですか?」
「う~ん」ーーーーーよく分からない。
「ストレッチしてもらいたい」
「かしこまりました。足ですか?」
「うん。それと、肩甲骨はがしって出来る?」
「あまり得意ではないですがやれることをやってみます」
「肩から、肩甲骨にかけてなんか疲れてて、いろいろ動かしてもらいたい」
「かしこまりました」
施術用のベッドにうつ伏せになってもらい施術を始める。
以前首のヘルニアをおこしてしまったみたいで首は触れないようにした。
肩から施術をする。
いつものテンポでやっていたら、「もう少し早めがいい」と言われたので早くした。
肩の外側らへんを指圧すると「痛い」と言った。
力加減を調節しながら指圧し、手根揉捏も加えて筋肉をほぐしていった。
そのお客様は、いろいろと細かいことを言ってきた。
やりづらいなと思いながらも、臨機応変に対処していった。
やりながら、「こういう柔軟な対応が出来る俺って凄いな」と自分で自分を褒めておいた。
うつ伏せの状態で少し太もものストレッチをくわえたあとにふくらはぎを揺らし、前脛骨筋を母子で指圧する。
「そこは仰向けのときにやってほしい。ちょっと弱い」と言われたので、
「かしこまりました。あとでまたやります」と答えた。
僕の場合、60分のもみほぐしのコースのときは仰向けの施術は行わないのだが、今日に限ってはストレッチを加えたかったのでラスト10分は仰向けでやるつもりでいた。
なのである意味プラン通りだった。
ラスト10分で仰向けになってもらう。
足の甲なんて特にやることはなかったけれど「足つぼ」のときにやる要領でさすったり押したりリンパを流してみたりした。
今度はしっかり圧で前脛骨筋を指圧する。
最後に、足のストレッチをし、股関節を回す運動をした。
「最近、そうやって足を回すとなんか痛むのよね」
「股関節ですか? 筋肉ですか?」
「分からないけど、なんか奥の方が」
話を聞きながら足の付け根や大腿筋膜張筋あたりを指圧してみた。
「寒いとなるんですか?」
「寒さは関係ないと思うけど、ワクチンを打ってからなのよね」
「あら」
「何か関係あるのかしら」
「どうなんでしょうね」
分からないことは分からないので知ったかぶりはしない。
「大変ですね」とだけ言っておいた。
最後に仕上げで座位の状態で肩を揉む。いつもは特に話しかけたりしないけれど今日はなんとなく「ここらへんを押すと痛いのなんでですかね」みたいなことを言った。
それで施術は終わった。
随分と細かいことをいろいろ言ってくるし、やりづらくはあったけれど困りはしなかった。
それは、「どうすれば良いのか」が分かっているからだ。
分かっているというのは、不安ではないので、まったくストレスにならない。
レストランでの仕事と比べてみた。
レストランでの仕事はまだ「何をしたら正解なのかが分からない」ので不安が付いて回っている。
だけど、「もみ」での仕事は「何をすれば良いのかだいたい分かっているし、分からないことがあってもどのように対処すれば良いのかが分かっているの」ので不安がない。
なので、「もみ」での仕事はやっていて心地よい。
気持ちがいいのだ。
人間の脳は気持ちの良いことしかしたがらない。
なので、「分からないこと」は、どんどん「分かる」ようにした方がいい。
そうすると、どんどん気持ちの良いことが多くなってくる。
「もみ」での仕事をしながら、「早く慣れないなー」とレストランでの仕事のことを考えていた僕なのでした。
明日は休み。
やりたいことがあるので楽しみです。
今日もお疲れさまでした。
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