家族

雑文

 朝方、妹に電話した。

 わたしは酔っぱらっていたので、ただ単に誰かとお話したかっただけで、電話した。

 多分10年振りくらいの会話だった。

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 10年振りくらいの会話なのだけど、それはまるで普段話しているみたいな会話だった。

 変な妹だ。

 特殊能力でもあるのか。

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 酔っぱらってはいるけれど、わたしにもいちおう「他者意識」というものはあるので、いちおう共通の話題として「最近のおばあちゃんのこと」について話した。

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 電話を切って、わたしは用事を済ませた。

 全身脱毛の件である。

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 カウンセリングを済ませ、私は父のもとへ向かった。

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 父は、実父である。

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 だが、戸籍上は「他人」である。

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 他人であるが、わたしは「身内」である。

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 ややこしい。

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 わたしの両親はわたしが小学生のころに離婚しました。

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 わたしを含め兄妹は母のもとにつきました。

 姓を変え、暮らしました。

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 それから十数年たち、大人になったわたしは父を探しました。

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 あれこれあって、17年ぶりに再会を果たします。

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 いまではわたしと父はなかなか付き合いが深いです。

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 だけど、母は父を嫌っているし、兄もそうでしょう(しらんけど)、妹はなぞです。

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 父が言いました。

「みぃ(仮名)はなんでオレを無視するんだ。誕生日におめでとうと言っても何も返事もくれない」

 そのことを気にしていました。

 わたしは、「ああ、たぶんめんどくさいからだとおもう。それだけ」

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「いやでも、それまでは連絡したら返事くれたのになんで」

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 わたしは考えました。

 たぶん、「めんどくさい」だけだと。

 でも一応、「みぃに聞いておいてくれ」と頼まれたので、聞いてみました。

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「と、いうことがあったんだ」

 すると、

「めんどい」

 と、かえってきました。

「わたし忙しい」とも。

 まあそうだろう。二人目の子どもが生まれて、さぞ忙しいだろう。

 だよなーと、わたしは思い、その旨を父に伝えました。

 納得しないようだったけれど、「そういうもんだ」ということで落ち着きました。

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「親子なんだから、『誕生日おめでとう』くらい言ったらせめて一言「ありがとう」くらい返ってくるだろう」

 と、父は言っていたが、

 いやあなた、母と離婚してますから、「親子」とは言えないのでは。 

 とはわたしは言いませんでした。

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 複雑なのです。

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 妹にしてみれば、父との記憶もそんなにないですし、

 母子家庭での生活の根源である父を快く思える心境でもないでしょう。

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 複雑なのです。

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 すこし余談ですが、

 わたしは、兄のことが嫌いで、絶縁しています。

 兄も、わたしのことが嫌いなようです。

 もう、20年以上目も合わせていません。

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 家族とは、なんだろうと、わたしはアニメ『SPY×FAMILY』を観ながら考えました。

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 うちは特殊である。

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 特殊な家庭はたくさんあるので、めずらしくはないけれど、

 変な「家族」であることは間違いない。

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 だいたい、わたしは妹の息子2人とまだ会っていない。

 甥である子どもと面会もしていないのだ。

 やれやれ。

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 ドライだな、と、思う。

 わたしも、妹も、

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 兄のことはしらん。

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 変なことを思うけれど、

「一般的な、例えばサザエさんのような家庭で育った人はどんな価値観を持っているのだろう」

 そんなことを思った。

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 たぶんまあ、「普通」なんだろうな。

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 マスオさんみたいな人になるだろう。

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 平和だ。

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 マスオさんは平和の象徴だ。

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 ああ父よ。

 娘に嫌われとるな。

 残念だが、しょうがない。

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 孫の顔も見たいだろうが、

 あなたは戸籍上「他人」なので、見られないだろう。

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 だが、わたしがいる!

 わたしが、「再会してみよう」と思ったから、あなたは孤独ではないのだ。

 ありがたく思えよ。

 せっかくだから600万の借金もチャラにしてくれ。

 学資金だと思ってくれ。

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 いや、冗談だ。

 ちゃんと返済する。

 大人だからな。

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 そんなわけで、今日は「わたしの家族」のことについて話した。

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 そういえば、あのころ、お風呂でう〇こもらしちゃった妹も今では「母」なのだな。

 そりゃあ、父になんかかまっている場合ではない。

 残念だが父よ、娘のことはあきらめろ。

 あなたを「父」とは思っていない。

 そういうものなのだ、うちの「家族」は。

 

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